三島町の生活工芸運動

三島町の生活工芸運動

生活の中の道具を自分で作る

日本人の暮らしの風景の中で、失われつつあるものの一つが「ものづくり」です。しかもそれは、ここ数十年の間で急速に衰退しています。
現代の生活の中で使う道具や着る物のほとんどは、非常に安価でしかも機能的で実用性が高いものであふれ返っています。自分でものをつくる必要性はどこにも感じられません。
ところが、身の回りにある自然の素材を活かして、身につける物や暮らしの道具を作り、喜んで使ってもらえると、作り手にとっては本当に喜ばしいことなのです。自分の持っている手仕事の技や知恵を活かしてものを作ることは生きる喜びに結びつくのです。

三島町の生活工芸運動

「冬は好きだ。ものづくりができるから。」
三島町の生活工芸運動が始まったきっかけは昭和50年代に行われた三島フォーラムでのこの言葉でした。
三島町のある奥会津は豪雪地帯。冬になると約2mの雪で覆われてしまいます。そんな農閑期の仕事はものづくりでした。
ワラジや蓑(みの)をはじめとした道具や衣類、荷縄やカゴなどの山仕事の道具など、いろんなものを作り、直し、そしてまた一年間を過ごすための準備期間でもありました。
それは家々で、囲炉裏端で火を囲みながら、御茶飲み話を弾ませながら、じいちゃんやばあちゃん、子ども達も一緒になって遊びながら作っていたことでしょう。
遡れば、日本人は古くから道具を作り、道具を使って生活してきたのです。三島町では約2,400年前の縄文時代の荒屋敷遺跡から編み組細工が発見されています。今と全く変わらない技法、そして使用感はその暮らし振りの片鱗を伺うことが出来ます。

そのものづくりの文化を後世にも伝えていくために昭和56年から始まったのが生活工芸運動です。
前身の「観光みやげ品コンクール」は昭和47年から始まっており、地域の資源を活かした地域づくりを数十年に渡り、町の人たちの力で受け継いできた運動です。

三島町生活工芸憲章

1.家族や隣人が車座を組んで
2.身近な素材を用い
3.祖父の代から伝わる技術を活かし
4.生活の用から生まれる
5.いつわりのない本当のものを
6.みんなの生活の中で使えるものを
7.生きる喜びの表現として
8.真心をこめてつくり
9.それを生活のなかで活用し
10.みずからの手で生活空間を構成する

(昭和56年4月制定)

三島町生活工芸館

生活工芸運動憲章にあるようなものづくりを世代を超えて守り続けていくための拠点施設として、三島町生活工芸館は昭和61年に誕生しました。
館には木工室、陶芸室、編み組室、染織室を備えています。

ものづくりの技術の継承と普及

生活工芸館ではものづくりの技術を継承するとともに、多くの方に気軽にものづくりに触れていただくために、ものづくり教室とものづくり体験を実施しています。

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